2025年4月29日、ドナルド・トランプ米大統領が2期目を迎え、29日で就任100日を迎えました。しかし、その成果はあまりにも薄く、外交、貿易政策の失敗が目立っています。
トランプ氏は、「米国第一」を掲げ、これを外交の基本方針として実行してきました。しかし、この方針は同盟国との信頼関係を損ね、世界的な孤立を招く結果となっています。特に、ほぼ全ての貿易相手国に課された高関税は、戦後の繁栄を支えた自由貿易体制を揺るがし、報復関税の連鎖を引き起こしました。これによって、貿易戦争の懸念が強まり、世界経済に波及しています。
トランプ氏は、大統領令を次々と発令し、2025年4月27日までに137本を発行しました。これはバイデン前大統領が4年間で署名した162本に迫るペースです。しかし、政策の法的な整備が遅れ、成立した法案はわずか5本にとどまり、政権運営がワンマン体制であることが明らかになっています。このような不安定な政治運営の中、ダウ工業株30種平均は4万4000ドル前後から4万113ドルに下落。市場の動揺は収まらず、株式市場、債券、ドルの価格が一斉に下落する「トリプル安」に直面しています。
トランプ氏が就任早々に「ロシアのウクライナ侵攻は24時間で終わらせる」と豪語していたものの、その試みは失敗に終わり、停戦仲介が難航しています。また、米国の一方的な態度により、NATO加盟国を中心に「米国抜き」の安全保障協力を模索する動きが出始め、米国が主導してきた西側陣営の国際秩序が崩れつつあります。サリバン前大統領補佐官は、「米国の信用が甚大なダメージを受け、中国がその恩恵を受けている」と指摘しています。
トランプ政権内では、イーロン・マスク氏と共に連邦政府機関の「ムダ削減」を推進しました。結果として、連邦職員230万人超のうち13万人以上が解雇され、早期退職に応じることとなりました。また、不法移民の強制送還政策も実行され、南部国境からの不法越境者は減少しましたが、強引で不透明な手続きには批判が集まっています。
これらの政策の影響を受けて、トランプ氏の支持率は就任直後の50.5%から45.4%に低下。特に「経済」や「移民政策」の分野で評価を落としており、「蜜月は終わった」と指摘する声が増えています。
「米国第一」を掲げたトランプ政権の初期100日は、国内外で数々の問題を引き起こしました。貿易政策の失敗、外交の孤立、経済の低迷がその象徴です。今後のトランプ政権がこれらの課題にどう向き合うのか、そして米国が再び国際社会で信頼を取り戻すためには、どのような方針転換が必要かが注目されます。