
SNS上で恋愛感情を利用して金銭をだまし取る「国際ロマンス詐欺」が再び愛知県内で発生寸前となった中、ある男子中学生の冷静な行動によって未然に防がれた。
事件が起きたのは2024年4月13日正午ごろ。名古屋市緑区の市立中学校に通う3年生・篠田一瑳(しのだ・いっさ)さん(14)は、志望高校の見学に向かうため瑞穂区内の地下鉄駅に到着した際、見知らぬ50代の女性から「テルアキさんですか?」と声をかけられた。
とっさに「違います」と答えたものの、不安そうな女性の様子が気になり、足を止めた。
女性の話を聞くと、SNSで知り合った「俳優」を名乗る男性に数万円分のアマゾンギフトカードの購入を依頼され、購入先を探している最中だという。面識もない相手からの高額な要求に違和感を覚えた篠田さんは、「それは詐欺かもしれません。一緒に警察に行きましょう」と説得を開始。女性が戸惑いを見せる中、約10分にわたり「知らない人にギフトカードを買って渡すのは危ない」と粘り強く伝え続けた。
最終的に女性は篠田さんの助言に従い、2人で愛知県警瑞穂署を訪問。事情を説明したところ、やはりロマンス詐欺であることが判明した。
女性は深く感謝し、安堵の表情で帰宅したという。後日、瑞穂署は篠田さんに感謝状を贈呈。浅田大一署長は「大人でもためらうような行動を取り、詐欺を未然に防いだ勇気と判断力を称えたい」と語った。
愛知県内では、2024年1~3月の間に確認されたロマンス詐欺などの被害は計199件、被害総額は25億円以上に上る。県警は「ギフトカードを求める見知らぬ相手には警戒を」と呼びかけている。
篠田さんは「誰かの役に立ててうれしかった。これからも人を助けられる存在になりたい」と前向きな言葉を残した。