2025年4月、静岡県浜松市で全国初となる「ドローン専用航路」が開通しました。この新たな“空の道路”は、天竜区を流れる気田川を含む天竜川水系の上空に設けられ、医療過疎地域への薬の配送に活用され始めています。
ドローン専用航路とは?
この専用航路は、建物や電線のない川の上空を活用することで、ドローンが安全に飛行できるよう設計されています。総延長は約180kmに及び、航路を整備したことで、これまで必要だった煩雑な飛行申請も不要となり、物流の効率化が期待されています。
空から薬を届ける実証実験
4月には、浜松市天竜区春野町で物流ビジネスの実証実験が行われました。ドローンには処方薬が積み込まれ、5km離れた診療所へと飛行。現地では着陸地点も整備され、無事に薬が届けられました。
地元の診療所関係者や住民からは、「移動が困難な高齢者にとっては非常にありがたい」「薬が手元に早く届くのは助かる」といった声が上がっており、高齢化が進む地域における課題解決としての期待が高まっています。
実用化に向けた課題も
すでに天竜区内の一部地域では、月2回のドローンによる薬配送サービスが開始されており、1回あたり430円の利用料で運用されています。しかし、現時点での課題は機体の積載量。現在のドローンでは約1kgまでしか運べず、ビジネスとしての採算性が大きなハードルとなっています。
国も支援に乗り出す
この状況を受け、国も支援策を打ち出しています。帰路に河川上空の撮影を依頼し、その映像を河川点検に活用することで、事業者への資金提供を行う計画です。
また将来的には、ドローンの性能向上によって日用品やネットスーパーの商品なども運べるようにし、より広範な中山間地域への物流網を確立することが目指されています。
まとめ
浜松市で始まった全国初の「ドローン専用航路」は、高齢化と過疎化に悩む地域の新たなインフラとして注目を集めています。今後の技術革新と制度整備により、この取り組みが日本各地へと広がっていく可能性は十分にあるでしょう。
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