
政府・自民党は8日、物価高対策として一部で求められていた消費税の減税について、実施を見送る方針を固めた。
背景には、代替財源の確保が極めて困難であり、社会保障の持続性を揺るがす可能性があることがある。
首相・幹事長が会談、減税見送りを確認
石破首相(自民党総裁)は8日夜、東京都内の日本料理店で森山幹事長と会談。関係者によると、この席上で**「消費税減税は見送るべきだ」**という認識を両者が共有したという。
消費税は社会保障の柱、減税で「数兆円規模」の財源不足も
消費税は年金・医療といった全世代型社会保障を支える基幹財源と法律で定められており、減税によって数兆円〜十数兆円規模の財源不足が懸念される。赤字国債による穴埋めでは、将来世代への負担が増大することも避けられない。
政府高官の一人は「一時的な物価高対策のために、制度の土台を揺るがす判断はできない」と語る。
減税の効果に疑問も 「高所得者優遇」「即効性に乏しい」
消費税の一律減税は、高所得者ほど恩恵が大きいという問題点も指摘されており、低所得層の物価高対策としては不適切との声も根強い。さらに、税率変更に伴うシステム改修など、現場の混乱を懸念する声もあがっている。
野党は「減税」を前面に、公約で攻勢
一方、野党側は参院選に向けて消費税減税を主要政策に据えており、立憲民主党は食料品の税率を0%にする方針。維新の会や国民民主党も減税を訴えている。
こうした動きに対し、自民党内では「財源論を無視したポピュリズム的な政策には乗れない」として、「責任政党」としての姿勢を貫く必要があるとの意見が強まっている。
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