韓国最高裁は5月1日、2022年の大統領選挙に向けた発言が虚偽だったとして公職選挙法違反の罪に問われた「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)前代表に対する二審の無罪判決を破棄し、ソウル高裁へ審理を差し戻す決定を下しました。李氏は6月3日投開票の大統領選挙において、最大野党の公認候補に内定しており、今回の判断は選挙戦に重大な影響を及ぼす可能性があります。
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無罪から一転、再び裁判へ
この裁判は、李氏が城南市長時代に関与した都市開発事業に関する不正疑惑を巡る国会答弁やメディアでの発言が「虚偽」にあたるかどうかが争点でした。2023年11月の一審では懲役1年・執行猶予2年の有罪判決が下されましたが、今年3月の二審(ソウル高裁)では逆転無罪に。しかし、最高裁はこれを不服として上告された審理の中で、「法解釈に誤りがあった」と判断し、再審理を命じた形です。
中道層の離反は避けられないか
李在明氏は現在、主要な世論調査で他の候補者を大きくリードしているものの、この判決が及ぼす政治的ダメージは大きいとみられます。特に中道層や無党派層の支持離れが懸念され、今後の選挙戦略の見直しは避けられない状況です。
また、再び裁判にかけられるという点で「法的リスクを抱えた候補」というレッテルが強まる可能性があり、保守陣営はこの点を強く攻撃材料にすることが予想されます。
韓国政治の構造問題も浮き彫りに
今回の事案は、韓国政治における都市開発事業を巡る利権構造や、選挙戦での発言の真偽が司法の場で厳しく問われる構図を改めて浮き彫りにしました。李氏にとっては、かつてのソウル市長選や大統領選と同様に、司法と政治が密接に絡む状況下での厳しい戦いが続きます。
差し戻し審理の結果次第では、今後の立候補資格や政治生命そのものに関わる可能性もあり、韓国国内外の注目が集まっています。