
ボクシング界の“モンスター”井上尚弥(32=大橋)が、またしても歴史を塗り替えた。
日本時間5日、米ラスベガスのTモバイル・アリーナで行われたスーパーバンタム級4団体統一戦で、WBA同級1位ラモン・カルデナス(29=米国)を相手に8回TKO勝利を収め、堂々の王座防衛に成功した。
2回にまさかのダウンを喫しながらも、そこから見事な逆襲を展開。7回にはカウンターでダウンを奪い返し、8回には圧巻の連打でレフェリーストップを呼び込んだ。これにより世界戦でのKO勝利数は23に到達し、あのジョー・ルイスを上回る歴代単独最多記録を樹立した。
この激闘を、世界で最も権威のある米ボクシング専門誌「ザ・リング」は“年間最高試合賞(Fight of the Year)”の最有力候補と位置づけた。同誌は「武士精神をもって逆境を跳ね返し、最終的にはカルデナスを粉砕した」とその精神力と技術の高さを称賛。
さらに「ラスベガスの陰鬱な空気を、一夜にしてボクシングの熱狂に変えた」とし、観客8,474人を魅了したこの一戦を「井上が現代ボクシングで最も凶暴で痛快なKOアーティストである証明」とまで表現した。
井上はこれで25戦連続タイトルマッチ、うち11戦が連続KO勝利とまさに無敵。PFP(パウンド・フォー・パウンド)ランキングでも現在2位に位置するが、今回の勝利で再び1位の座に返り咲く可能性も浮上している。
“モンスター”の名にふさわしい井上尚弥の闘いは、ボクシング界にとっても、日本のスポーツ界にとっても、まさに誇りと呼べる存在だ。
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